博士課程からインターンへ。Podcastが繋いだユーザベースとの出会い
自分は、他社のエンジニアリング関連のPodcast番組に、ユーザベースのデータサイエンティストだった方が出演されているのを聴いたのがきっかけです。そこで初めてユーザベースという会社を知りました。
当時、自分は大学院の博士課程に在籍していて。そのPodcastで、ユーザベースには博士課程の学生のような"尖った人材"を応援する組織文化がある、というニュアンスの話を聞いて、記憶に残っていました。
僕の就職活動は少し特殊で、博士課程を途中で諦めて就職したんです。博士課程1年生の夏にまずインターンを探すことから始めて、博士課程の研究とインターンを半分ずつ、という生活を1年ほど送りました。その中で、やはり仕事のほうが楽しいかもしれないと感じ、本格的に就職する道を探し始めたんです。
環境学や土木工学、都市環境学といった分野です。ソフトウェアエンジニアリングとは直接関係ないんですが、機械学習のような技術を都市環境学に応用する、といった研究トピックだったので、エンジニアリングの応用領域にいた、という感じですね。

はい。尖った個性を応援してくれるカルチャーがあるという話を聞いていたので、最初からユーザベースでインターンしたいと考えていました。当時AlphaDrive(2022年にユーザベースからカーブアウト)だけがソフトウェアエンジニアのインターンを募集していて、そこでNewsPicksを紹介してもらった、という流れです。
「この人たちと働きたい」インターン経験が入社の決め手に
もともと情報系の学生ではなかったので、プロのソフトウェアエンジニアとして仕事をしていくための基礎から、たとえば「この本を読むといいよ」といったことまで、丁寧に教えていただきました。自分の周りにはソフトウェアが好きな人があまりいなかったので、自分の興味がある分野の話がたくさんできて、すごく嬉しかったのを覚えています。
理由は大きくふたつあります。ひとつは、自分の好きな技術分野と事業の方向性がマッチしていたことです。私はレコメンドシステムや機械学習の応用にすごく熱中しているのですが、NewsPicksがまさにその領域に力を入れようとしていて、需要がありそうだと感じました。自分が夢中になれることで仕事ができて、報酬もいただける。こんなに素敵なマッチングはないな、と。
ふたつ目は、人が魅力的だったことです。インターンとして1年間働く中で、開発組織の多くのメンバーと話しましたが、皆さん本当にリスペクトできる素敵な人たちなんです。特にチームメンバーが素晴らしくて。非情報系のバックグラウンドで、もがいてもがいて、やっと掴んだチャンスだったので、チームの皆さんへの感謝の気持ちがすごく大きかったんです。この人たちと一緒に働き、自分が成果を出すことで恩返しがしたい、みんなに喜んでほしい、というモチベーションが大きな決め手になりましたね。

何より大きかったのは、「インターンだから」とか「新卒1年目だから」という理由で意見を言えなかったり、何かができなくなったりすることが一切なかったことです。頭ごなしに否定されることもなく、常に対等な立場で議論に参加させてもらえました。これは本当にありがたかったです。
100人に1人の人材に。新卒1年目の社外登壇が拓いた道
新卒1年目(2024年)の7月に、社外のレコメンドシステムに関するイベントで登壇した経験です。インターン時代から1年以上かけて取り組んできた内容を発表したんですが、これが自分にとって一番大きなチャレンジでしたし、やって良かったと心から思える出来事でした。
はい。チームメンバーがシニアな方ばかりだったので、このままでは埋もれてしまう、もっと存在感を出していかないと、という焦りのような気持ちがありました。そんなときに、高山さん(高山 温/専門役員 フェロー)からすごく背中を押してもらえたんです。
高山さんは「情報発信をすることで特別な人材になれる」と教えてくれました。「まず、こういうコミュニティイベントに参加するエンジニアが10人に1人。その中で、実際に登壇して自分の意見を発信する人はさらに10人に1人しかいない。だから、1回登壇するだけで100人に1人の人材になれるんだ」と。その言葉に勇気をもらって、登壇に申し込みました。

結果的に、本当に存在感を高めることができたと感じています。発表内容についてXでポストしたら100以上の「いいね」をいただきましたし、推薦システム関連の著名な本の著者の方がコメントをくださったり、同業のエンジニアの方々にたくさんフォローしていただいたり。
さらに、その半年後には、さくらインターネットさん主催のイベントに、登壇者としてお声がけいただいたんです。NewsPicksのCTOである安藤さん(安藤 裕紀)も常々「情報は発信するところに集まる」と言っていますが、まさにその通りだと実感しました。登壇をきっかけに多くの方と情報交換ができるようになり、そこで得た新しい知見をプロダクトに活かせる。素晴らしいサイクルが生まれることを学びました。
「やらされ仕事」の苦悩。対話で乗り越えたコミュニケーションの壁
もちろんあります。正社員になってから、仕事で関わる人がチーム内だけでなく、他チームのエンジニアや、編集チーム、プロダクトマネージャー(PdM)など、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーに広がりました。その中で、特に最初の頃はコミュニケーションにとても苦戦しました。
入社して1ヵ月経った頃、PdMの先輩社員とのコミュニケーションでとても苦しみました。当初、PdMから依頼された仕事を、ただこなして返すだけ、という状態になってしまっていたんです。これでは自分はただの手足でしかない、何のためにやっているんだろう……と。成長実感も貢献している感覚も得られず、精神的にかなり苦しくなりました。
キッカケはふたつありました。ひとつは、メンター制度です。週に1回、別のチームの鶴房さん (鶴房 秀一/NewsPicks事業 プロダクト本部所属)がメンタリングをしてくれていて、そこで自分の気持ちを正直に吐露しました。鶴房さんはそれを受け止めた上で、的確なアドバイスをくれたんです。

もうひとつは、NewsPicksの開発組織内で開催されている勉強会です。そこで、あるメンバーが「分析タスクの進め方」というテーマで発表していたんですが、その内容がまさに「PdMに言われたことをただやるだけではない」という話だったんです。PdMとエンジニア、それぞれの視点から意見を交換し、ベストなアプローチを探っていくべきだ、と。その発表を聞いて、「これだ!」と。自分が抱えていたモヤモヤが言語化され、働き方を変えようと決心できました。
忙しそうで少し怖い印象があったPdMに、勇気を出して1on1をお願いしたんです。もちろん、事前にメンターの鶴房さんやチームリーダーの雲越さんに「こうしようと思うんですけど、大丈夫ですかね?」と相談して、背中を押してもらいました。
実際に話してみると、依頼は決して「命令」ではなく、「一緒に課題を解決したい」という想いからだったと分かって。それからは、それぞれの観点から意見を出し合い、対話を通じて最適な解決策を見つけていく、という進め方ができるようになりました。
迷ったら挑戦する道を選ぶ。背中を押してくれる文化が成長を加速させる
「迷ったら挑戦する道を選ぶ」ですね。ユーザベースにインターンとして入社してから、このバリューを実感する機会が本当に多いと感じています。先ほどの社外登壇もそうですし、日々の業務でも、チームメンバーから「インターンだから、新卒だからという理由で遠慮しなくていいよ」と何度も言ってもらいました。

まさしくそうです。経験豊富なシニアな方々が「やってみなよ!」と背中を押してくれるので、挑戦へのハードルがすごく下がります。だから、社内の勉強会でもインターン時代から何度も発表させてもらえましたし、「こうした方がいいと思う」という意見も言いやすかったです。挑戦させてもらえない、ということがない。これは他の組織では当たり前ではない、すごく素敵な文化だと思います。
そうですね。このバリューの背景には「景色の交換」という考え方があると思っています。それぞれ異なるバックグラウンドやコンテキストを持つ人たちが一緒に仕事をしていく上で、コミュニケーション、つまり情報伝達がものすごく重要になる、ということ。
良いアイデアがあっても、自分の中に留めていては価値は生まれない。だからこそ、伝え方や受け取り方といった情報伝達の技術を怠ってはいけない。面倒だと感じても、そこを疎かにしては、それぞれの才能をかけ算することはできないんだな、と強く感じているんです。
ユーザベース、特にNewsPicksの開発組織は、本当にエキスパート揃いで、人間的にも尊敬できる方ばかり。そういう先輩たちが、年齢や経験に関係なく、若手の挑戦を心から応援してくれます。
一方で、その環境に甘えて、もたれかかるのは違うとも思っていて。僕自身も、社内外で価値を発揮し、「うちの会社に来てよ」と引く手あまたになるような存在を目指さなければならない、と常に意識しています。

編集後記
穏やかな話し方の中で、静かな熱意を感じるインタビューでした!
最後に話してくれた「社内外で価値を発揮し、「うちの会社に来てよ」と引く手あまたになるような存在を目指さなければならない」という発言を受けて、私たちもそんな引く手あまたなメンバーから、「それでもユーザベースで働きたい」と選んでもらえるような会社でいたいな、と思いました。








